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お知らせ
2023.03.29
初診日について 続き
前回の続きです。
(6)障害の原因となった傷病の前に相当因果関係があると認められる傷病があるときは、最初の傷病の初診日が対象傷病の初診日
相当因果関係とは、前の疾病又は負傷がなかったならば、後の疾病が起こらなかったであろうというように、前の疾病又は負傷との間に因果関係があると認められる場合をいいます。
【相当因果関係ありと扱われることが多いもの】
1. 糖尿病と糖尿病性網膜症または糖尿病性腎症、糖尿病性神経障害、糖尿病、性動脈閉塞症等
2. 糸球体腎炎(ネフローゼ含む)、多発性のう胞腎、腎盂腎炎に罹患し、その後に生じた慢性腎不全
3. 肝炎と肝硬変
4. 結核の化学療法による副作用として生じた聴力障害
5. 手術等による輸血により併発した肝炎
6. ステロイドの投薬による副作用で生じた大腿骨頭壊死
7. 事故または脳血管疾患による精神障害
8. 肺疾患に罹患し手術を行い、その後に生じた呼吸不全
9. 転移性悪性新生物は、原発とされるものと組織上一致するか否か、転移であることを確認できたもの
【相当因果関係なしと扱われることが多いもの】
1. 高血圧と脳出血または脳梗塞
2. 近視と黄斑部変性、網膜剥離または視神経萎縮
3. 糖尿病と脳出血または脳梗塞
4. 一定の状態で経過していた場合のポリオとポストポリオ
前の傷病と因果関係があれば、前の傷病で最初に受診した日が初診日となり、因果関係がないという事であれば、後の傷病で、受診した日が初診日となります。
因果関係の判断は、医学的な専門的知識が必要となる場合があります。例えば、失明に至った原因が糖尿病であれば、初診日は糖尿病と診断された日となります。
また、透析で障害年金を請求したいという場合、透析にいたった原因の病気(糖尿病・高血圧等)と診断された日が初診日となりますが、糖尿病と高血圧のどちらが、透析にいたるまでの因果関係があるのかは、医師に確認する必要があります。
では、うつ病により自殺未遂をし、障害が残ったという場合は、どうなるのでしょうか? うつ病と自殺未遂との関連性があると医学的に認められれば、うつ病と診断された時が初診日となります。
(7)先天性の知的障害(精神遅滞)は、出生日
発達障害の場合は診断がついた日が初診日となります。発達障害と知的障害が20歳後に初めて診断がついた場合、初診はどうなるのでしょうか? 概ね、知的障害と発達障害の併発とみなされ、初診日は出生日となります。但し、軽度の知的障害の場合は、別傷病であるとみなされ、診断がついた日が初診日となる事もあります。
(8)先天性心疾患、網膜色素変性症等、具体的な症状が出現し、初めて診療を受けた日
(9)先天性股関節脱臼は、完全脱臼したまま生育した場合は、出生日が初診日。青年期以降になって変形性股関節症を発症した場合は、発症後初めて診療を受けた日
人工股関節手術をしたら原則3級に認定されます。但し、初診日が厚生年金加入時でないと3級の障害年金は支給されません。
先天性股関節脱臼の場合は、20前障害となり、障害基礎年金での請求となり、2級以上に該当しないと障害年金が支給されません。しかし、長年、経過観察程度の症状であったというような場合は、社会的治癒を申し出て認められれば初診日は、症状が悪化して病院を受診した日となります。
社会的治癒を申し立てる事により厚生年金加入時を初診日とできる可能性があります。