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お知らせ
2023.09.04
神経症では、認定されないのか?
今回は、神経症や人格障害と診断された場合について記載します。障害年金の認定基準によると、強迫性障害やパニック障害などのいわゆる神経症や、人格障害(パーソナリティ障害)は、原則として障害年金の対象とならないとされています。診断書に、ICD-10コードがF4または、F6の傷病名のみが記載されていた場合は、注意が必要です。窓口でも、「このままでは認定されないので、先生にもう一度相談してほしい。」と指摘されます。
認定対象外となる「神経症」とは
障害年金の認定に使用されているICD-10(国際疾病分類)によると、いわゆる神経症として認定対象外とされている疾患は、おおむね次のとおりです。ICD-10(国際疾病分類)ではF4と記載されます。
- 恐怖症性不安障害(広場恐怖症、社会恐怖症など)
- 他の不安障害(パニック障害、全般性不安障害など)
- 強迫性障害 ・重度ストレス反応(心的外傷後ストレス障害、適応障害など)
- 解離性(転換性)障害 ・身体表現性障害 ・摂食障害
人格障害(パーソナリティ障害)とは
その人の属する文化から期待されるものから著しく偏った、内的体験および行動の持続的様式。この様式は以下の領域の2つ(またはそれ以上)の領域に現れる。
(1)認知(すなわち、自己、他者、および出来事を知覚し解釈する仕方)
(2)感情性(すなわち、情動反応の範囲、強さ、不安定性、および適切さ)
(3)対人関係機能
(4)衝動の制御
- その持続的様式は柔軟性がなく、個人的および社会的状況の幅広い範囲に広がっている。
- その持続的様式が、臨床的に意味のある著しい苦痛または、社会的、職業的、または他の重要な領域における機能の障害を引き起こしている。
- その様式は安定し、長時間続いており、その始まりは少なくとも青年期または成人期早期にまでさかのぼることができる。
- その持続的様式は、他の精神疾患の表れ、またはその結果ではうまく説明されない。
- その様式は安定し、物質(例:乱用薬物、医薬品)または他の医学的疾患(例:頭部外傷)の直接的な生理的作用によるものではない。
と定義されています。
神経症や人格障害で障害年金を受給できる場合とは
神経症の場合は、その症状が長期間持続し一見重症なものであっても、原則として認定の対象とならない。ただし、その臨床症状から判断して精神病の病態を示しているものについては、統合失調症又は気分(感情)障害に準じて取り扱う。とされています。
この「精神病の病態を示している」とは、一体なにをさすのでしょうか。ICD-10でいうF2(統合失調症など)やF3(気分障害など)の病状がある場合と考えられています。
統合失調症など(F2)
- 統合失調症 ・統合失調症型障害 ・持続性妄想性障害 ・統合失調感情障害
気分(感情)障害(F3)
- 躁病エピソード ・双極性感情障害(躁うつ病) ・うつ病エピソード
- 反復性うつ病性障害 ・持続性気分(感情)障害
神経症や人格障害で障害年金を請求する場合の留意点
原則、F4のみの傷病名では認定しないという立場を機構はとっています。しかし審査請求等では、疾患がF4のみでも認定されたケースが非常にまれですがあります。強迫性障害やパニック障害など神経症の診断を受けている場合、まずは主治医に、他の疾患との関連がないか相談してみましょう。その上で、統合失調症や気分障害の病状がある場合には、診断書の診断名に併記してもらうか、備考欄に、その病態とICD-10コードを記入してもらいましょう。また、病歴・就労状況等申立書には、神経症や人格障害による症状だけでなく、併発(または病態のある)統合失調症や気分障害などによる症状も、しっかり記入します。
疾患名のみで、申請が認められないのは疑問がありますが、なんとか申請できる方法がないか検討してみましょう。