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2024.02.08

ライトノベル 17

 社労士の北山に高次脳機能障害の方から障害年金の相談があった。相談者は40歳男性で、ご夫婦で相談に来られた。

 「深山と申します。今日はどうもよろしくお願いします。」「こんにちは。社労士の北山です。」とまずは互いに挨拶をした。

 「初診日はバイクの事故で搬送されたA病院になると思います。主人は一見、後遺症も残らなかったので、1月程で退院しました。」と奥様が話はじめる。

 「きっかけは交通事故という事ですね。」と北山がメモをとる。

 「ええ。でも退院してからが大変でした。退院して家での生活でも、約束の時間や伝えた事を忘れる。記憶が曖昧な事が多い。以前の主人はそんな事はなかったと思いましたが、暫くすれば元通りになると思っていました。でもその後、復職しても状況は変わらず仕事もうまくいかず退職し、それ以降、主人は家に引きこもってしまって。途方に暮れていました。」

 「今回の交通事故の示談でお世話になっている弁護士にお話したら、ひょっとしたら高次脳機能障害ではないか。事故の後遺症で、そのような障害がでる人がいる。専門の病院を受診してみたらといわれ、ネットで高次脳機能障害の病院等を調べてみました。そこで高次脳機能障害であると診断されてリハビリや障害年金等について説明されました。いろいろ調べてみましたが、残念ながら自然に元通りになる事はないみたいですね。長期戦になりそうですが、当面の収入は、傷病手当金のもらえる期間が終わったら、障害年金に頼るしかありません。」と奥さんが話す。

 「そうですか。それは、急な事故から大変でしたね。そうですねえ。再来月で事故の日から1年半たつので、それにむけて申請の準備をしていきましょう。」と北山は答えた。「確認ですが、ご主人には手や足に障害はないですか?もし手や足にも障害が残っていたら、より上位の等級になる可能性があります。」と北山は尋ねた。「いいえ。庭仕事なら問題なくできています。」と本人が答えた。「そうですか。では精神の診断書で記載してもらいましょう。まずは日常生活の問題点を整理していきましょう。」と北山はいい初回面談は終了した。

 メディカルノートには「高次脳機能障害とは、脳卒中や事故などをきっかけとして脳の機能が著しく障害を受けることにより、さまざまな状態を引き起こすことを指します。たとえば、ものを覚える、気持ちを抑える、目的を持ってものごとを遂行する、などがうまく行えなくなってしまう状態です。上記のような状態となることから、高次脳機能障害を発症すると、日常生活を送ることが難しくなる場合もあります。

 原因
 高次脳機能障害は、脳へのダメージを原因として発症します。脳は、ものごとを理解する、記憶する、どこに何があるかを把握するなど、生活にかかわる複雑なことを遂行できる能力を有しています。しかし、脳梗塞や脳出血、くも膜下出血といったいわゆる脳卒中を発症すると、こうした能力が著しく障害を受ける可能性があります。
 また、交通事故などの際に頭部を強く強打することや、脳腫瘍や窒息による低酸素脳症なども、高次脳機能障害の原因となることがあります。

 症状
 高次脳機能障害では、生活をするうえで欠かせない能力が障害を受けることから、日常生活に多大なる障壁を与えることがあります。また、高次脳機能障害で生じる症状には重症度があり、症状に気づきにくいこともあるため注意が必要です。
 具体的に生じる症状としては、

  1. 言葉がうまく出てこなくなり、言いたいことが言えない
  2. 言葉をうまく発音できない
  3. ものの理解がうまくできない
  4. など、言葉に関連した障害がみられることがあります。


 また、記憶力に障害が生じることもあります。記憶力が衰える結果、うっかりミスが増える、食事をとったかどうかを思い出せないなどの症状が現れます。
 そのほかにも注意力が散漫となってしまったり、服の着方を忘れてしまったりすることもあります。とある。
 頭を強く打つような事故や脳の病気が原因で発症し、原因の病気が落ち着いたようにみえても、日常生活や仕事に戻るといろいろな問題がおきて、病気だとわかる事が多いと言われている。
 日常生活の問題点を整理する作業は奥様が丁寧にまとめてくれた。「分かりやすく丁寧にお伝えくださりありがとうございます。これでスムーズに医師の診断書の作成依頼ができます。」と奥様がまとめた文章を確認しながら北山はいった。

 出来上がった診断書をみたら2級相当の内容となっていたので、北山は早速、提出をした。「本日、無事障害年金の申請をしました。結果が通知されるまで3カ月程度かかります。また、審査の過程で問い合わせ等あれば私に連絡があるので、対応します。」と北山は伝えた。
 「ありがとうございます。無事申請にこぎつける事ができ、ほっとしました。」と深山はお礼を述べた。

 その後 数カ月して深山から2級の年金証書が届いたと連絡があった。さらに以前の職場で同じ雇用形態ではないが、また働く事になったと2重に嬉しい知らせもあった。
 「よかったです。3年後また診断書が必要ですが、また、きちんと申し立てれば大丈夫でしょう。」と北山も、何とか深山が再出発の目途がたった事を喜んだ。


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