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2025.01.06
ライトノベル24
ホームページを作成する会社での出来事
ある日、スタッフの小山から、社長の佐々木に育児休暇を2ヶ月取得したいと相談があった。
「実は2番目の子が先月生まれたばかりですが、2歳の長男が今週急に病気で入院する事になりました。医師の話によると2カ月以上入院する事になるかもしれません。自分は、育児休暇は予定していませんでしたが、本当に急で申し訳ありませんが、再来週から2ヶ月、育児休暇を取らせてください。しばらくは義理の両親が来てくれていますが、自分達の事でもあるし、遠方なのでいつまでもという訳にはいけないと思います。」と小山は佐々木に事情を告げた。
社長の佐々木は、事情が事情であるし、育児休暇は法律で決められた権利であるので、小山の育児休暇を認める事にした。小山には「権利であるし、会社の事は心配しないで、今はお子さんの事に専念してほしい。」と伝えた。とはいえ、どうやって仕事を割り振っていこうか?と佐々木は考えた。 取り急ぎ、社労士の中山に手続きと今後の事を相談する事にした。
「まず、手続きですが、雇用保険から給付金が支給されます。なお、育児休暇の間は社会保険料も免除となります。この2点の手続きが必要です。こちらで手続きいたします。後でメールをおくるので、必要な情報を教えてください。後は労働時間の問題ですが、36協定の範囲内で、何とか皆で仕事を分担していきましょう。」と中山はいった。
「手続きよろしくお願いします。労働時間の上限ですか・・・36協定を確認してみます。今日の夕方、緊急に皆に集まってもらい、今後の事を話し合う予定です。兎に角、急なトラブルが起きない事を祈ります。」と佐々木はいった。
さっそく、夕方の社内ミーテイングで、社員8人で、小山が担当している案件を手分けした。ハードになるがなんとかなりそうだと皆が言ってくれた。「皆さん、ご協力よろしくお願いします。言わずもがなですが、くれぐれも、コロナやインフルエンザにならないように注意してください。」と佐々木はしめくくった。
仕事の引継ぎを終えて、小山は予定どおりに育休にはいった。夫婦で話し合った結果、生まれたばかりの長女の世話は妻がして、小山は主に2歳の長男の入院につきそう事になった。
長男の入院中は、小山は、ほとんど病院に泊まりこみの生活になった。
義理の両親が看病の交代にくる時間だけが、小山にとって病院から外にでる事ができ唯一、休息できる時間であった。幸い、長男は、順調に回復したので、予定より早く、1か月半で退院できる事になった。
小山の病院に泊まりこむ生活は1月以上続いた。
およそ1月の生活であつたが、病院のコンビニで購入する食品以外の食事や、ゆっくりと入浴できる時間が、如何に重要であるかを小山は痛感した。
一方、社長の佐々木をはじめ、残った会社のスタッフは、毎日、小山の分も頑張っていた。1人の仕事を8人で分担した事になるので、単純計算で一人あたり1日1時間程度は追加業務がある事になった。
中には、休日、遊園地に行く予定だったが、急遽延期せざるを得ないスタッフもいた。なんとか皆で協力して、2ヶ月間、乗り越えた。
ようやく、2か月後、無事、小山が育休から復職してきた。「皆さん、2ヶ月間、ありがとうございました。無事、息子も元気になって退院できました。今日からまた、頑張ります。」と小山は職場の皆に礼を述べた。
「息子さん。元気になられてよかったです。また、今日からよろしくお願いします。」と佐々木が皆を代表していった。
佐々木が育休・産休について、調べてみると、最近では、休暇を取得する職員をフォローする側にも、何等かの支援をしようという発想もあるらしいという話もあった。
何とか落ち着いたので、佐々木は頑張ってくれたスタッフに、夏季の臨時のボーナスを支給しようと考えた。検討した結果、一人あたり5万円を支給する事にした。
社労士の中山に相談したら、育休中の職員や、育児のため短時間勤務をする職員の業務を代替した同僚に対して、残業代とは別に「フォロー手当」を出す場合は、助成金の制度があると教えてもらった。
中山に依頼して助成金を申請できないかさっそく検討してみる事になった。
改めて、今はそういう時代なのかと佐々木は感心した。
佐々木をはじめ、会社のスタッフ一同、弊社は10人程度の企業であり、今までスタッフの誰かが長期にわたり職場を離れた事がなかったので、育休を含め、誰かが長期に職場を離れるという問題は、どこか他人ごとのような気がしていた。
しかし、今回の件を期に、スタッフが1月以上、職場を離れるという事態は、自分達の会社でもいつ起こるかわからないと考えるようになった。
スタッフが急に職場を離れても、その人の仕事を回せるようにしておく必要があると佐々木は強く感じた。
そこで、これを期に皆で話し合って、いつ誰が急に職場を離れてもいいように、日頃から自分の担当している仕事のマニュアルを作成しておくこと、また、互いに仕事の進捗状況を把握しておく事を、今後の対応策として検討していく事にした。
何度か皆で話し合っていくうちに、今度、同じような事態になっても、今回よりは皆、落ち着いて乗り越えられると思えるようになり、仕事に対して、前向きな自信が生まれた。