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お知らせ
2024.01.15
ライトノベル16
ベトナム人の外国人労働者のグエンさんが、退職し帰国する事になったので、社会保険の脱退一時金について教えてほしいと顧問先の社長から問い合わせがあった。
この会社は最近外国人労働者を受け入れはじめ、職員が退職して帰国するのは初めての事であった。
社労士の中村は、その会社を担当している新人社労士の川村に調べて対応するように指示をだした。「年金機構のホームページに請求書の様式はあります。必要書類等はそこで調べて下さい。ポイントは出国日に書類を郵送してもらう事です。」と川村に伝えた。
早速川村が調べてみると、
脱退一時金は「日本国籍を有しない方が、国民年金、厚生年金保険(共済組合等を含む)の被保険者(組合員等)資格を喪失して日本を出国した場合、日本に住所を有しなくなった日から2年以内に脱退一時金を請求することができます。」
厚生年金保険の脱退一時金の支給要件は以下のとおりです。
- 日本国籍を有していない
- 公的年金制度(厚生年金保険または国民年金)の被保険者でない
- 厚生年金保険(共済組合等を含む)の加入期間の合計が6月以上ある
- 老齢年金の受給資格期間(10年間)を満たしていない
- 障害厚生年金(障害手当金を含む)などの年金を受ける権利を有したことがない
- 日本国内に住所を有していない
- 最後に公的年金制度の被保険者資格を喪失した日から2年以上経過していない(資格喪失日に日本国内に住所を有していた場合は、同日後に初めて、日本国内に住所を有しなくなった日から2年以上経過していない)
と日本年金機構のホームページにあった。
請求書はベトナム語の様式もダウンロードできるようになっていた。ミャンマー・ネパール・クメール語等々結構、様々な言語に対応しているのだなあと見ながら川村は驚いた。
今回、帰国予定のグエンさんは、来日して3年であり、それ以前に日本で働いた経験がないので、支給の対象となる事がわかった。
金融機関は外国の金融機関でも振込は可能ではあるとの事だが、全ての金融機関が、対応しているとは限らないので、事前に希望する金融機関に確認してもらった方が間違いないかなあと川村は思った。
さらに、郵送の場合は、出国日以降に日本年金機構に到着するようにしてください。とある。所長に言われたのはその事かと川村は思った。
その後、必要書類も伝えて、グエンさんと社長に事務所にきてもらい、書類の準備をした。
3人で日本語・ベトナム語の説明をもう一度読みながら、グエンさんが書類を記載していった。
「以上で書類は揃いました。これを一式封筒に入れるので、切手をはって、明後日、帰国日にポストにいれて下さい。早めに送ると受け付けてもらえない可能性があるので、出国日にお願いします。」と川村は伝えた。「脱退一時金は、実際に振り込まれるまで4カ月程度かかります。また、ベトナムの場合ドルで支払われるとの事です。」と付け加えた。
「会社でだしておくよ。彼とお別れしてから郵便局に持っていけばいいね。」と社長がいった。
「よろしくお願いします。」とグエンさんがいった。
「調べてみましたが、国同士で社会保障協定というのが結ばれたら、日本での年金の加入期間が将来母国で年金を受給する時、有利になる制度があるそうです。現在、日本とベトナムの間にそういった社会保障協定は結ばれていませんが、将来は日本の年金の加入記録がベトナムで年金を受け取る時に役立つかもしれません。一応覚えておいて下さい。」と川村は最後に付けくわえた。
「わかりました。いろいろありがとうございました。」とグエンさんはいい、社長と帰っていった。
地方都市であっても、外国人労働者は増えてきている。また、外国籍ではあるが、日本で結婚し働いている人も増えてきている。キチンと対応できる必要があると川村は思った。