NEWS
お知らせ
2024.02.26
アルコール依存症は障害年金の対象になるのか
今回は、アルコール依存症と、障害年金について記載します。アルコールによる体の震え、幻聴、幻覚などの身体症状のため、仕事や日常生活に重大な支障が出ているのであれば、障害年金の対象となる可能性があります。
では、アルコール依存症で障害年金の請求をうける場合、どのような制限があるのでしょうか?
認定基準では、アルコール・薬物などの精神作用物質の使用による精神および行動の障害については、「B症状性を含む器質性精神障害」に含められています。
- アルコール・薬物等の精神作用物質の使用により生じる、精神障害について認定するものであって、精神病性障害を示さない急性中毒、及び明らかな身体依存の見られないものは認定の対象にならない。(精神疾患を生じている場合のみが、認定の対象となります。精神病の症状がない急性中毒や、依存がみられない場合は、認定の対象になりません。)
- 精神作用物質使用による精神障害は、その原因に留意し、発病時から療養及び症状の経過を十分考慮する。
となっています。
※精神の障害認定基準より
また、「給付制限」の問題があります。国民年金法第70条及び、厚生年金保険法第73条の2では、「故意の犯罪行為若しくは、重大な過失により、又は正当な理由がなく療養に関する指示に従わないことにより、障害もしくはその原因となった事故を生じさせ、又は傷害の程度を増進させた者の当該障害については、これを支給事由とする給付は、その全部又は一部を行わないことができる。」としています。
アルコール依存症の場合、この、給付制限事由に該当する事があります。特に理由がなく、飲酒を繰り返し、アルコール依存症になった場合は、障害年金は支給されません。
しかし、アルコール依存に至った経緯にも考慮すべき事情がある場合(例:DV、失業、離婚、等)も、支給が認められる可能性があります。
覚せい剤等の違法薬物を使用していた場合も、上記の給付制限に該当することが、あります。但し、元々の精神障害により、判断能力がない状態での違法薬物の使用という事であれば、故意による給付制限の対象とはならない事があります。
また、例えば、過去に覚せい剤の使用歴がある人が、統合失調症になってしまった場合、現在は覚せい剤の中毒症状がみられず、さらに、統合失調症の発症と覚せい剤使用の因果関係が、医学的に認められない場合は、給付制限の対象とはならない事もあります。
薬物の使用という過去がある場合、まず、病気と薬物に因果関係はないか、現在薬物の使用はないか審査の過程で問い合わせがある場合があります。
薬物の使用歴があれば、全て不支給というわけではありませんが、病気と薬物に因果関係がある、現在も薬物を使用している等の事情があれば、不支給となりえます。
アルコールの問題を抱えている場合は、体の震え、幻聴、幻覚などの身体症状があるか、アルコール依存症にいたった背景等をキチンと整理して、申請に臨みましょう。