NEWS
お知らせ
2023.10.16
第三者行為事故状況届について
障害年金・遺族年金を請求するときに、「第三者行為事故状況届を記入して下さい。」と言われる事があります。主に事故原因が交通事故や労災事故の場合に提出するものです。提出を求められた場合に備えて、どのような趣旨で第三者行為事故状況届の提出が必要なのか?年金が減額される事はあるのか?について記載していきたいと思います。
まず、労災事故と認定され、障害年金と労災の両方から給付を受けることができる場合は、両方から全額受け取ることはできず、労災の給付が減額されて支給されることになります。労災の請求も考えている場合は、窓口で相談しましょう。
但し、労災と障害年金の調整があるのは同一傷病の場合に限ります。例えば、仕事中の事故で大ケガして、労災給付を受けていたが、その後、別の病気で障害年金を受給する場合は、別傷病という事で労災と障害年金の調整はありません。
また、障害厚生年金の受給者が遺族補償年金(労災年金)を受ける事になった場合、調整は行われません。
国民年金、厚生年金保険は受給者も年金保険料を納付していますが、労災保険料は全額会社負担なので、労災給付の方で減額調整される仕組みになっています。
一方、20歳前傷病の障害基礎年金と労災の調整は、逆に労災が全額支給され、障害基礎年金は全額支給停止になります。20歳前傷病の障害基礎年金は、国民年金の保険料を納付することなく受給できるので、労災が優先して全額支給され、障害基礎年金は全額支給停止される仕組みになっています。
次に、交通事故の場合、相手方が加入していた保険から損害賠償がなされた場合、その金額の中で生活補償部分とみなされる部分については、その限度で年金は支給されません。年金の支給停止期間は最長3年となっています。
交通事故以外でも、相手方と示談等により損害賠償がなされた場合も、年金の減額の対象となり得ます。
その他、加害者がいなくても、転倒や転落・溺水事故の場合もこの書類の提出が必要な場合があります。損害賠償を請求しうる第三者がいない事を確認するためのもので、この場合は当然、年金が減額されることはありません。
損害賠償金の場合、減額の対象となるのは、生活保障に相当する額だけが対象です。「逸失利益」や「休業補償」のような年金と同様な性質と考えられるもののみが対象です。慰謝料、医療費(葬祭料、緊急経費、雑損失)は減額の対象となりません。
障害年金が支給停止となる期間は、最長で事故の翌月から36ヶ月(平成27年9月31日までに発生した事故の場合は最長24ヶ月間)です。障害年金の受給権が得られるのは、原則として初診日から1年6ヶ月経過した日が障害認定日となっています。
実際には、障害年金の受給権が決まったときには、18ヶ月が経過しているため、調整される期間は最長で18ヶ月(1年6ヶ月)となるケースがほとんどです。
また、職場でパワハラ等を受けて、精神疾患になった場合、会社や加害者と調停等で和解金を受領した場合も、この書類の提出を求められる事があります。この場合も生活補償部分の金額があるとみなされると、年金が減額される可能性があります。
第三者行為事故状況届には、可能な範囲で事故状況を記入します。場合によっては、現場を図面で示します。その他、確認書 同意書に署名します。また、損害賠償額が決定している場合、損害賠償の算定書や示談書のように、具体的な金額がわかる書類の提出も求められます。
この書類を提出すると、障害年金・遺族年金の支給決定通知とは別に、年金減額に関しての通知がきます。詳しくは年金事務所等に確認しましょう。