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お知らせ
2025.09.16
第三者行為事故状況届
今回は「第三者行為事故状況届」について記載します。障害年金・遺族年金を請求するときに、「第三者行為事故状況届を記入して下さい。」と言われる事があります。これは、主に原因が交通事故や労災事故の場合に提出するものです。提出を求められた場合に備えて、どのような趣旨で第三者行為事故状況届の提出が必要なのか?年金が減額される事はあるのか?について記載していきたいと思います。
まず、労災事故と認定され、障害年金と労災の両方から給付を受けることができる場合は、両方から全額受け取ることはできず、原則として、労災の給付の方が減額されて支給されることになります。労災に認定されるかどうかはわからないが、労災の請求も考えている場合は、窓口で相談しましょう。但し、労災と障害年金の調整があるのは同一傷病の場合に限ります。例えば、仕事中の事故で大ケガして、労災給付を受けていたが、その後、別の病気で障害年金を受給する場合は、別傷病という事で労災と障害年金の調整はありません。また、障害厚生年金の受給者が遺族補償年金(労災年金)を受ける事になった場合、調整は行われません。
国民年金、厚生年金保険は受給者も年金保険料を納付していますが、労災保険料は全額会社負担なので、労災給付の方で減額調整される仕組みになっています。
一方、20歳前傷病の障害基礎年金と労災の調整は、逆に労災が全額支給され、障害基礎年金は全額支給停止になります。20歳前傷病の障害基礎年金は、国民年金の保険料を納付することなく受給できるので、労災が優先して全額支給され、障害基礎年金は全額支給停止される仕組みになっています。
次に、交通事故の場合、相手方が加入していた保険から損害賠償がなされた場合、その金額の中で生活補償部分とみなされる部分については、その限度で年金は支給されません。年金の支給停止期間は最長3年となっています。
交通事故以外でも、相手方と示談等により損害賠償がなされた場合も、年金の減額の対象となり得ます。その他、加害者がいなくても、転倒や転落・溺水事故の場合もこの書類の提出を求められる場合があります。この場合は損害賠償を請求しうる第三者がいない事を確認するためのもので、この場合は当然、年金が減額されることはありません。
損害賠償金の場合、減額の対象となるのは、生活保障に相当する額だけが対象です。「逸失利益」や「休業補償」のような年金と同様な性質と考えられるもののみが対象です。慰謝料、医療費(葬祭料、緊急経費、雑損失)は減額の対象となりません。また、障害年金が支給停止となる期間は、最長で事故の翌月から36ヶ月です。
なお、職場でパワハラ等を受けて、精神疾患になった場合、会社や加害者と調停等で和解金を受領した場合も、この書類の提出を求められる事があります。この場合も、和解金に生活補償部分があるとみなされると、年金が減額される可能性があります。
第三者行為事故状況届には、可能な範囲で事故状況を記入します。場合によっては、現場を図面で示します。その他、確認書 同意書に署名します。また、損害賠償額が決定している場合、損害賠償の算定書や示談書のように、具体的な金額がわかる書類の提出も求められます。
この書類を提出すると、障害年金・遺族年金の支給決定通知とは別に、後日、年金減額等に関しての通知がきます。詳しくは年金事務所等に確認しましょう。
必要書類の参照 障害の原因が第三者行為の方
https://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/tetsuduki/shougai/seikyu/20140519-02.html
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