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2024.10.15
老齢年金の繰り上げ・繰り下げについて
長生きリスクという言葉がありますが、リタイアした後の人生が長くなるとすると、経済的な面も検討しないといけませんね。さて、今回は、老齢年金の繰り上げ・繰り下げ受給について記載します。
まず、老齢年金の繰り上げとは、65歳になる以前に減額された老齢年金を受給する制度です。
老齢基礎年金の繰上げ請求は、月単位となっており、請求した月の翌月分から年金が受け取れます。
減額率(最大24%)= 0.4%× 繰上げ請求月から65歳に達する日の前月までの月数
1年繰り上げると、4.8%受給できる年金額が減額されます。
繰上げ請求するといくつかのデメリットがあります。十分理解した上で繰上げ請求するかどうかを決める必要があります。
一生減額された年金を受けることになります。繰上げ請求した後に裁定の取消しはできません。
65歳以降も一度減額された金額は戻りません。ただし、振替加算の加算対象者は、65歳になると振替加算額分は支給されます。
寡婦年金の受給権者が老齢基礎年金を繰上げ請求すると寡婦年金は失権します。
また、老齢基礎年金を繰上げ受給している人は、寡婦年金の請求はできません。
受給権発生後に初診日があるときは、障害基礎年金が受けられません。
また、繰り上げ支給を請求する前の病気やけがで障害がある場合でも、障害基礎年金を請求できない場合があります。この点も重要です。現在は病気でなくても、今後、何があるかわかりません。
なお、繰り上げ請求をすると、国民年金の任意加入被保険者になれません。
参照 日本年金機構 繰り上げ
年金の繰り下げとは、老齢年金の受給を、66歳以降に延期することによって、受け取れる年金額を増やせる制度です。最大75歳まで繰り下げできます。
昭和16年4月2日以後に生まれた人については、支給の繰下げを申し出た日の年齢に応じてではなく、月単位で年金額の増額が行われることになります。
また、その増額率は一生変わりません。
増額率(最大84%)= 0.7% × 65歳に達した月から繰下げ申出月の前月までの月数
1年繰り下げると、8.4%、受給できる年金額が増えます。在職中で、収入が多く、老齢年金が支給停止される場合は、支給停止後の年金額のみ、増額されます。ですので、年金が支給停止されるなら、繰り下げたほうがよいとは単純にはいえません。
繰下げ請求は、老齢基礎年金の権利発生から1年以上待ちましょう。
65歳に達した日以後に年金の受け取りに必要な加入期間を満たして、老齢基礎年金を受ける権利ができた方の場合は、その受ける権利ができた日から、1年を経過した日より後に繰下げ請求ができます。
繰下げできるのは、他年金の権利が発生するまでの間です。
65歳に達した日から66歳に達した日までの間に、遺族基礎年金、障害基礎年金(老齢厚生年金の繰下げについては、障害基礎年金を除く)もしくは厚生年金保険や共済組合など被用者年金各法による年金(老齢・退職給付を除く。昭和61年改正前の旧法による年金を含む。)を受ける権利がある場合は、繰下げ請求をすることはできません。
66歳に達した日より後に他の年金を受ける権利ができた場合は、その年金を受ける権利ができた時点で増額率が固定されます。
この場合、65歳からの本来支給の老齢基礎年金及び老齢厚生年金をさかのぼって請求するか、他の年金が発生した時点の増額された繰下げ支給の老齢基礎年金及び老齢厚生年金の請求をするかを選択できます。
老齢年金を繰り下げるために、老齢年金の受給を遅らせていた方が、遺族年金・障害年金の受給権が発生した場合は、年金事務所に相談しましょう。
加給年金額・振替加算額は、繰下げしても増額されません。
また、繰下げ待機期間中は、振替加算部分のみを受けることはできません。この点も、繰り下げを検討する上でポイントです。
繰下げによる年金は、請求された月の翌月分(66歳に達した日より後に他の年金を受ける権利ができた場合は、権利が発生した月の翌月分)からの支払いとなります。
参照 日本年金機構 繰り下げ
どうした方が得ですかと質問をうける事があります。年金事務所で、繰り上げ・繰り下げした場合の試算をだしてもらう事は可能です。
しかし、最終的な損得は、寿命の問題で、わかりません。誰しも、5年後、10年後の事はわかりません。
ですので、何があるか、わからないから、早く受給したいと考えるか、利子が付かないので、貯金しておくよりは有意義と考え繰り下げる。等々、個々人の判断だと思います。基礎年金と厚生年金別々に繰り上げ、繰り下げする方法もあります。
また、老齢年金なので、税金や高額療養費の上限額等も金額によって変更があります。一度、手続きすると変更できないので、キチンと調べて、ご自身で納得して選択してください。