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2024.12.02

がんと障害年金について

 今回は癌で障害年金を請求できる条件について記載します。
 癌と診断される現役世代(20から60代)は年間36万人いるとのデータがあります。治療だけではなく、治療が一段落した後の就労等、今後の生活設計も課題となります。
 さて、一口に癌といっても、部位やステージ等で様々な状況があります。
 では、癌により、障害年金の受給の対象になるのはどのような場合なのでしょうか?

ア) 悪性新生物そのものによって生じる局所の障害
例えば肺がんによる呼吸機能の障害
イ) 悪性新生物そのものによる全身の衰弱 または機能の障害
がんが増殖して身体が弱った状態
ウ) 悪性新生物に対する治療の効果として起こる全身衰弱または機能の障害
化学療法や放射線治療の後遺症により身体が弱った状態
治療の副作用による倦怠感・悪心・嘔吐・下痢貧血・体重減少・痺れなどの全身衰弱

 障害年金の障害認定日は、原則として、初診日(初めて診察をうけた日)から1年6カ月を過ぎた日です。
 しかし、癌により、咽頭全摘出した・人工骨頭または人工関節を挿入置換した・ 人工肛門を装着した等の場合は、障害年金の請求を、初診日から1年6カ月を待たずに請求できます。
 では、どの程度の障害で障害年金が支給されるのでしょうか?

ア) 無症状で社会生活ができ、制限をうけることがなく、発病前と同等にふるまえるもの
イ) 軽度の症状があり、肉体労働は制約をうけるが、歩行、軽労働や座学はできるもの
ウ) 歩行や身の回りのことはできるが、時に少し介助が必要なこともあり、軽労働はできないが、日中の50%以上は起居しているもの
エ) 身の回りのある程度のことはできるが、しばしば、介助が必要で日中の50%以上は就床しており、自力では屋外への外出等がほぼ不可能となったもの
オ) 身の回りのこともできず、常に介助を必要とし、終日就床を強いられ、活動の範囲がおおむねベット周辺に限られるもの

障害等級
1級 著しい衰弱または障害のため、一般状態区分表のオに該当するもの
2級 衰弱又は障害のため、一般状態区分表のエまたはウに該当するもの
3級 著しい全身倦怠のため、一般状態区分表のウまたはイに該当するもの

 全身の衰弱がポイントとなるので、体重の減少があれば、きちんと記載してもらいましょう。
 輸血の記録も重要です。
 疲労や衰弱、強い倦怠感、息切れ、食欲不振、という症状があれば医師に伝えましょう。

 なお、「転移性悪性新生物は、原発とされるものと組織上一致するか否か、転移であること を確認できたものは、相当因果関係があるものと認められる。とあります。」転移か新たな病気かを医師に確認しましょう。
 転移であったら初診日は最初の癌と診断された日になります。

参照 日本年金機構 悪性新生物による障害 より

 複数の症状で日常生活や仕事に支障がある場合は、2種類の診断書を提出することにより、上位の等級に認定される事もあります。
 肺癌や肝臓がんの場合は、症状によっては呼吸器や肝疾患の診断書より、その他の診断書で請求した方が、より適切に評価される事があります。
 事前に検討しましょう。

 就労している場合は、障害年金に該当しないのではないかと思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、就労していても該当することがあります。
 癌の後遺症や、治療が長期間に及んでしまい、満足に仕事や日常生活ができないというような場合は検討されてはいかかでしょうか。



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